突然の思いつきで北海道に行った話です。
なぜ
お盆明けくらいから、会う人に「人生最後の夏休み」であることを指摘される回数が増えました。JAG 合宿や情報処理試験が後に控えていることを鑑みて、旅行に行くなら早めの方がいいと思ったので急遽行くことにしました。一回分だけ余ってた今季の 18 きっぷを消費したかったという意味もあります。ノープランだったのは、スカイメイト (後述) を使うためです。せっかく飛行機を使えるので、鉄道ではアクセスしにくい北海道にしました。
スカイメイトとは
日本航空 (JAL) の搭乗券を破格で買える革命的なサービスです。しかしながら無条件で使えるほど世の中甘くはなく、以下の 3 つの制約が存在します。
- JAL カードまたは JMB 会員である。
- 満 12 歳以上満 25 歳以下である。
- 搭乗日の午前 0 時以降に予約する。
1 つ目は簡単に満たせ、2 つ目は不可抗力です。3 つ目が難しいところで、いつ乗れるかが不透明であるため、動的に旅程を決定するのが好きな人にはおすすめです。どれくらい安いかというと、東京・羽田から札幌・新千歳まで片道 1 万円足らずで行けました。
利用にあたってもう 1 つ罠があります。そう、予約する前に空港のカウンターまたは郵送手続きで「お客様情報」を登録しないといけないという点です。私は当日になるまでこのことを知らず、羽田空港に行って初めて予約できるようになったため、時間をロスすることとなりました。
レギュレーション
実際に縛りプレイをしていた訳ではないですが、実際の結果では満たされていたので、後付けをしています。
- 飛行機及び宿泊の予約は、当日午前 0 時以降に行う
後先のことは考えず、毎日を貪欲に生きるというイメージです。
大まかなイメージ
事前の行きたい場所のイメージとして、新千歳から室蘭本線と函館本線を使って、室蘭・長万部・小樽・札幌の順にぐるりと一周し、3 泊 4 日程度で帰ってくるということを考えていました。行き当たりばったりなので、当然想定通りに行くはずもなく...。
実戦
0 日目
9/9 に日付が変わった午前 0 時、真っ先に JAL で新千歳行きのスカイメイトの便を検索する。空席がある最初の便は羽田 14:30 発。続いて 15:30, 16:30, ... の順で、遅くなるほど空きが多い状況であった。14:30 発だと到着は 16:00 になるので、遅いなあと思いながら仕方なしにこの便をポチる。「生年月日をご登録のうえ予約してください。」という表示が出る。JMB の会員になる際に生年月日を登録していて、カードも届いたので完全に油断していた。クレジットカードではないのでちゃんとした審査はされておらず、スカイメイトは年齢が超本質なので、言われてみれば当然の話だ。年齢確認をする方法を調べると、空港カウンターまたは郵送で身分証明書を提示するという 2 通りの手段があるらしい。こんなことなら郵送で事前に登録しておけばと後悔している間にも空席はみるみる埋まっていき、0 時半の時点で最速は 16:30 に。明日空港に行かないと始まらないので、何も考えずに寝ることにした。何も予約してなかったので、行けなかったら行かなければ良いという戦略を取れる点だけが心の拠り所である。かくして、何の成果も得られないまま 0 日目は終了。
1 日目
どうせ夜からしか動けないので、ゆっくり寝て 10 時頃に起床。空席状況を検索すると、昨日の時点では余裕のあった 16:30 の便が残り数席となっていた。行けるかもわからないし、行けたとしても新千歳に着くのが 19 時以降になることは必至である。羽田に行かないと何もできないので、昼を食べたら荷物をまとめて家を出る。
途中で暇つぶし用の本を買ったりした後、羽田空港には 13 時過ぎに到着。インフォメーションカウンターで聞いた JAL のカウンターに行くと、あっさり情報登録ができ、その場で予約もできた。搭乗するのはやはり 17:30 発 19:00 着の日本航空 525 便。
搭乗まで約 4 時間もあるので、空港内を探索することにした。インフォメーションカウンターで推された国際線の第三ターミナルに、ターミナル間を結ぶ無料送迎バスで向かう。タクシー乗り場や都心方面へ向かうバスが多々あり、バス停探しは非自明だった。約 5 分おきと山手線ばりの本数が運行されているにもかかわらず、車内は満員電車の様相を呈していた。第一ターミナルから第三ターミナルまでの移動時間も約 10 分かかり、大田区の 4 分の 1 を占める羽田空港の大きさを体感した。
PC を含む約 10 kg の荷物を背負って第三ターミナルに到着。第一ターミナルのカウンターで荷物を預けていれば良かったのだが、もう遅い。ラウンジで少し休憩した後、外国人向けで殿様商売な 4 階江戸小路を見物し、行きたかった 5 階展望デッキに向かった。デッキは晴れていて風通しも良くて居心地が良かったので、近くのカフェで飲み物を買ってしばらくここに居座ることに。他の writer が出題した JAG 合宿の問題を考察した後、16 時頃に退散。再び第一ターミナルに戻るが、ここでもバス停探しに苦戦し、二回ほど道を尋ねることになってしまった。
保安検査があっさり終わってしまったため生まれた暇を昼に買った本で潰していたら時間になったので、いよいよ飛行機に乗り込む。LCC に慣れた体にとって、JAL の広さ、機内設備の快適さはかえって新鮮だった。滑走路混雑のため 30 分遅れで出発。経験上北海道に行く飛行機は遅れるイメージがあったが、今回も多分に漏れない。飛行機に乗るときは、離陸の際の緊張感と着陸の際の安心感が私は好きである。機内では外をぼーっと眺めていたらあっという間に到着。到着間際の港湾、おそらく室蘭付近の綺麗な夜景が印象深い。
19 時半頃に新千歳空港に到着。すっかり日も暮れて少し肌寒い。もっと早く来れていれば室蘭まで行きたかったが、近辺で宿を探すことにした。選んだのは「ホテルウィングインターナショナル苫小牧」。料金は素泊まりで 9 千円と決して安くはなかったが、インバウンドの影響か 1 万円以下で泊まれる普通のホテルは数えるほどしかなかった。
千歳駅で千歳線に乗り換え、21 時頃に苫小牧駅に到着。北海道名物であるところのセイコーマートで食事を買ってからホテルに直行。余力があれば港の方まで散歩にいきたかったが、ロビーで柄の悪そうな方々が大声で喋っていて具合が悪くなったため断念。食事、シャワー、JAG 合宿の問題文校正の仕事を済ませ、いよいよ翌日の宿取りに着手する。
当初の予定では函館本線の長万部から小樽の間で宿を取りたかったのだが、いざ調べてみると最低価格で 1 万数千円してしまう。18 きっぷでそこそこ移動力があることをふまえ、函館、旭川、帯広など手広く調べてみたが、どこも同じような情勢だ。諦め半分で札幌を調べると、「ホテルルートイン札幌白石」が大浴場・朝食付きの 9 千円で残っていたので、迷わずそこに決定。1 万円切っているというだけで凄く安く見えてしまうのだから、夏の北海道は恐ろしい。さて札幌は室蘭本線と函館本線を乗り継いで行くにはあまりに遠いので、当初の予定を諦めて、「左辺を捨てて右辺で勝負する」方針に切り換えることにした。
宿取りで様々な可能性に思いを巡らせた結果頭が冴えてしまったので、テレビに備え付けの YouTube をだらだら見たりしてから午前 2 時頃に就寝。
2 日目
一人旅の朝は遅い。朝 9 時頃に起床してから身支度と大まかな旅程のイメージを済ませ、ギリギリの時間でチェックアウト。セイコーマートで 100 % りんごジュースを買って駅に向かったのだが、これが類を見ない美味しさだった。今夏 18 きっぷの最終日ということもあり、ここ苫小牧もキッパーで賑わいをみせている。この日の最初の目的地は登別。苫小牧から室蘭本線普通列車で室蘭方面に進み、約 40 分で到着。車窓からはいくつもの牧場と牛、馬が見え、北海道に来ていることを実感した。登別駅のホームは非常に長く、国鉄時代の、北海道鉄道全盛時代の、名残を感じられた。
温泉街はより内陸側にあるため、駅からさらにバスで 20 分程移動する。着いてからは、まずロープウェイを使ってクマ牧場を目指した。クマ牧場というのは聞いたことがなかったので興味津々である。
牧場では「アヒルの競争」という、キャッチーな名前をしているが実際には競馬のアヒルバージョンが行われていて人だかりができていたので私も参加することになった。レースに参加するアヒルには色のラベルがつけられており、競技プログラマーの私は問答無用で赤色の馬券ならぬアヒ券に 200 円をベット。レースが始まるやいなや赤のアヒルが先頭に躍り出て、いけると思いきや、飼育員が投げたエサに釣られて一気に後退。その隙をついた黒のアヒルに逆転優勝を許し、あえなく撃沈となった。黒のアヒ券を買っていた人も何人かいて、お金をもらっていたが、何円もらっていたのかは気になるところ。
完全にアヒルに気を取られてしまったが、ここの目玉はクマなのだ。エゾヒグマが飼育されているゾーンが雄と雌で 1 つずつあり、それぞれ約 5 匹ずつ飼育されている。ガラス越しで直に見える所では迫力があって怖いが、少し離れて餌やりされているのを見ると親しみが湧いてくるので不思議なものだ。これだけ至近距離でクマと対面できる場所も珍しい。もし山でそんなことがあったら即ち死である。
資料館を見てからロープウェイで街に引き返す。日帰り温泉の営業再開までまだ時間があったので、地獄谷を見に行った。登別温泉原泉の湧出地であるが、この日の湧き出しは控えめだったのが少し残念。奥まで行って引き返し、札幌ラーメン屋で腹ごしらえをしてから、目玉である温泉へと向かった。
この日行ったのは登別万世閣。温泉街にそこはかとなく漂う硫黄の香りから強酸性を想像していたが、それほど癖がなくて入りやすく、青みがかった白濁が特徴的だった。タオルレンタル込みで 1400 円で、綺麗で広い内湯・外湯に入れたので満足度が高い。事前にシャンプーやリンスを取ってから風呂場に行くシステムで、過剰に取って余してしまったことは反省...。
バスの時間まで少しだけ時間があったので、近くのミルキィーハウスでソフトクリームを食事。これは濃厚で分量も多く美味しかったのだが、バスの発車が秒読みだったため、あまり味わえなかった。次は余裕を持って来たい。
定刻のバスで登別駅まで引き返す。特に見所がなかったらもっと早く戻ろうと思っていたので、嬉しい誤算だ。再び室蘭線・千歳線を乗り継いで札幌・白石を目指す車内では翌日の宿を調べたが、やはりしっくりくるところはない。ちょうど日が暮れた頃に白石駅に到着。一旦ホテルで重荷を下ろしてから札幌の中心街へと繰り出すことにした。
白石は札幌駅から JR で二駅の位置であり、ホテルはその白石駅から徒歩 20 分となかなか険しい立地だった。夏の北海道で当日宿泊をするには、料金、立地、快適さ (プライバシー) の少なくとも一つは犠牲にしなければならない。札幌の住宅街を抜けてホテルに到着すると、一休みしてから再出発。目的地は札幌駅である。
再度駅まで戻り、電車に乗って札幌駅に到着。18 きっぷの恩恵で短区間でも気軽に乗れるのが地味にでかい。食事をしようと名前を聞いたことのある回転寿司屋のトリトンに行ったが、入店待ち多数のため既に打ち切られており、待つことすら許されなかった。営業終了間近の店も少なくなかったので、やむなく駅南側のフードコートで済ませることとなる。
食後は気分で駅前のカラオケ館に行った。何を歌っても採点の点数がほぼ同じなのでバグかと思いながら小一時間歌い続ける。ヒトカラは実は初めてなのだが、一人旅行の余興としてちょうどよく感じたので、明日もまた来ようかと思った。
外に出るとすっかり夜が更けていて、心なしか街の灯も少なくなっている気がした。いい頃合いなので、白石のホテルに帰宅。着いたのは 23 時頃だった。想像以上に一日楽しめたのでこのまま大浴場で風呂に入って就寝、と行きたいところだが、最後の宿取りをしなければならない。これがまた億劫な所で、小樽か札幌に泊まりたいが今日ぐらいの値段のホテルはないし、明日帰るのももったいなくて気が進まない。長考の末プライバシーを捨てて、札幌のカプセルホテル「ちょい寝ホテル札幌手稲」を選択。値段は過去最安の 5 千円だったが、不安は尽きない。が、そんなことを考えてもどうしようもない。この日もだらだらしてから 2 時頃に就寝。長い一日だった。
3 日目
いつも通り 9 時に起床し、ホテルのビュッフェで食事をしてから出発。そんなにだらだらしたつもりはなかったが、チェックアウトした後スマホを見ると 10 時ちょうどで冷や汗をかいた。札幌駅でコインロッカーに荷物を預けた後、快速エアポート号で小樽を目指して再出発。小樽までは 40 km 40 分で、本数も多くて便が良い。ギリギリの時間に乗り込んだ車内は乗車率 8 割といったところで、小樽の人気ぶりを感じる。車内では lichess のタクティクスをやって、不正解を繰り返して瞬く間にレートを溶かした。負けると勝つまでやりたくなってしまう性分なので、こういうのを旅行中にやってしまうのをやめたい。
駅に着くと、とりあえず海の方に向かって歩いた。小樽の地理については何も知らなかったが、どの辺りが賑わっているかは経験則でわかる。進んでいくと突然廃線跡が現れ、鉄道好きとしては胸が小躍りした。ただ、このときは人が多かったのでまた後で来ることに。さらに進むと運河があり、岸にはレンガ造りの倉庫が立ち並んでいた。いかにも観光地ですというような場所だ。ここから奥は明らかに人が少なくなっていたのだが、気になったので一応海まで進んでみる。そこには埠頭があったという当然の結果だったのだが、空いていて海風も心地よかった。こういう観光地の裏スポット的な場所は好きだ。
雲が淀んでいた午前とは裏腹に午後は時折晴れ間が差し込む。運河の隣の道まで戻って、南に足を進める。食事をしていなかったので、海鮮丼の店が立ち並ぶエリアから適当に選んだ店に入った。3 千円の海鮮 10 種盛りみたいなのを注文。写真で見ると何の変哲もない海鮮丼なのだが、嚙み切るのも容易ならざるほどの肉の厚さには驚かされた。これが北海道の魚かと思った次第である。
方向もよくわからず適当に歩いていると、日銀を始めとした様々な銀行の旧支店が立ち並ぶ場所に来ていた。5 年前に同じ北海道の港町である釧路に行ったときに日銀支店があったのを思い出したが、何か関係があるのかはわからない。ともかく、先ほどの廃線跡、運河の倉庫も合わせて、明治から昭和にかけての小樽の経済的な繁栄を感じられる場所だった。
どうやら北に進んでいたようで元の場所に戻ってしまったため、来た道を再度南下。すると、明らかに観光のメインストリートであるような場所に辿り着く。涼しさや雰囲気からどことなく軽井沢を想起したのは私だけだろうか。この通りでは、ルタオや北菓楼などの名だたる洋菓子店の本店が立ち並ぶ壮観が何より印象的だった。ルタオで試食したチーズ入りのラングドシャがシンプルに美味しかったのでお土産として購入。値段や常温保存可能性という観点からもちょうど良かった。
最深部には小樽オルゴール堂が聳え立つ。結論から言うとここがとても良くて、小樽に来て良かったと思わされるような場所だった。館は三階建てで、一階はオーソドックスなオルゴールが、二階と三階はジブリなどのキャラクターと関連したオルゴールが展示されている。数は夥しく、しかも自由に触って鳴らせるのだからこの上ない。上についたネジを回す一番シンプルなもの、箱型になっていて閉じると中断されるもの、紐を引くタイプのもの、車型になっていて鳴りながら走るもの、底のネジを回すと台座が回るものなど、多種多様なオルゴールがある。音色、妙に平成世代にマッチした曲選、ネジを回すと音が鳴るというシンプルなからくりに心を擽られ、隅から隅まで鳴らして遊んだ。さんざん遊んでおいて何も買わないのも心苦しいが、また機会があれば来たい。
メインストリートを後にし、山側の商店街らしき場所を見に行ったのだが、こちらは寂れているとまでは言わなくとも完全に人気がなく、まさに光と影という感があった。そのまま突っ切って駅まで戻ってもまだ 15 時だったので、改めて廃線跡を見に行くことに。ここは小樽市の旧手宮駅と現在の函館本線南小樽駅を結んでいた貨物線で、1880 年に開業して 1985 年に廃線となったようだ。廃線跡に来ると、やはり線路のど真ん中を歩いて Stand by Me をするのが楽しい。線路の末端まで行くことはできなかったが、旧手宮駅や南小樽駅まで残っているのかは気になるところ。
15 時半発の快速列車で小樽を後にし、札幌へと戻る。電車は相も変わらず立席で、地元民の会話に耳をそばだてたり夕食のことを考えてたらあっという間に札幌に到着。空はまだ明るいが、並ばなくてもいいというアドバンテージを活かすべく早々に食事をすることにした。少考の末行ったのは「札幌ザンギ本舗」。ボリューミーなザンギ 4 つと小鉢 2 つもついて、900 円でいいの?というのが率直な感で、店員さんの愛想も良くて非の打ち所がなかった。
食事に成功してからは、東京を出る前に友人に勧められたサッポロビール博物館へ赴く。余談だが、こちらへ行く道中に昨日訪れたトリトンがあり、17 時の時点で既に外待ちが発生しているのを見て笑ってしまった。博物館は上から下に降りていくシステムで、上の階でサッポロビールの歴史の展示を見た後、下の階の試飲会場で飲むという流れになっている。サッポロビールは、ドイツのビール製造法を真似して北海道でやってみたら、独特の風味が出て発展したらしい。試飲ではサッポロビールクラシック 240 mL で優勝。アルコール度数は 5 % だったが、酒の弱さに定評のある私でも全く酔わなかったところに質の良さを感じた。おつまみなしでも飲みやすく、満足である。
館を出るとちょうど日が暮れて、レンガ造りの建物群と橙色の照明が情緒的な雰囲気を醸し出している。ここからは札幌大通りを目指す。真南に足を進めると、大通りらしき道とクロスするが、この時点では写真でよく見るような場所ではない。さらに西に進むと、すっかり暗くなった空に一際目立つテレビ塔が映る。このテレビ塔には展望台があるので早速登る。約 90 m の高さから望む札幌の夜景は綺麗だった。視界の奥まで住宅街が広がる東側、すすきのの歓楽街が眩しい南側、大通りが中央に構える西側、オフィス街の北側と、見る方向によって全然違う景色を味わえる。人口 190 万人を抱える札幌市の規模を体感できた。
日課のカラオケ館に向かおうと札幌駅の目の前を歩いていたところ、見覚えのある人と目が合う。北大の同学年競技プログラマーの itigo さんっぽいなと思った瞬間には ICPC 横浜の青 T シャツを着ているのを認知して、確信に変わった。勢い話しかけてみるとドンピシャで、こちらの顔は覚えられていなかったものの「tokusakurai です」と名乗るとすぐに認知してもらえた。昨年の JAG 合宿で一言二言喋っただけなのだが、すぐに打ち解けて周辺の散歩に連れていってくれて嬉しかった。大通り沿いを歩きながら、ネカフェやカラオケでの夜の明かし方、札幌に存在する座標系、そこかしこで開かれる屋台祭り、就職先、北大の競プロ事情などの話をして非常に楽しかった。最後は時計台を経由して 21 時前に札幌駅で解散。あまりに突然の出来事だったが、あそこで機を逃さずに声をかけられて良かった。ここしかないというタイミングをしっかり掴めるように生きていきたいものだ。
朝コインロッカーに預けた荷物を忘れずに回収し、宿のある手稲に向かう。札幌駅から普通列車で 20 分の距離にある手稲駅は、札幌市手稲区に属する。宿は二段形式の木でできたカプセルホテルで、布団の隣に荷物を置く場所があって十分な広さだった。言うなれば、寝台特急サンライズ号ののびのび座席をそのままバージョンアップさせた感じである。利用者は私のような限界大学生が多いのかと想像していたが、中年以上の方が多くて意表を突かれた。共用のシャワールームが 2 つと洗面所 3 つ、各人が使えるロッカーなどの設備は十分で、人が増える前にとシャワーを済ませた。
3 日後から JAG 合宿があるので、明日には帰るつもり。スカイメイトの予約は日付が変わってからであり、イヤホンも持ってきてなかったので、1 時間ほど本を読んで暇を持て余した。0 時を回った瞬間に検索をかけると、新千歳を出る予約可能な最も遅い便は 15:10。想定より大分早かったが、ないものをねだってもしょうがない。疲れたしやれることもないのでそのまま就寝。
4 日目
長いような短いようなでついに最終日を迎える。9 時を過ぎ、多くの人が出て行って空いた洗面所で身支度を済ませてからまたもやギリギリの時間でチェックアウト。itigo さんから「ていね温泉ほのか」の休憩処で泊まれることを教わったので、次はこちらに来てみたい。手稲駅では地元のパンが売られていたので 1 つ購入。おまけでつけてくれたパンが買ったものより分量が多くて面白かった。時間の都合で札幌を割愛して千歳に直行。本当は 1 日目に行こうと思っていた千歳水族館へと向かう。
水族館は千歳駅から歩いて 10 分強の場所にある。ここの一番の売りはサケで、隣を流れる千歳川に直に面した水槽もある。他の魚と見比べて、サケは長くて鋭い顎が特徴的だ。時期が良ければサケの遡上が見られるそうだが、この日見られたのはウグイだけだった。隣の道の駅では鮭の海鮮丼を食事。水族館は空いていたが、こちらは混んでいて 10 分以上待たされたように思う。
千歳駅から新千歳空港までは二駅と程近い。出発 1 時間半前に新千歳空港に到着。発着する便の行き先を見ていると、国内線では北海道・東北、国際線では中国・韓国が多かった。土産を買い足してから搭乗。帰りは 10 分程度の遅れで無事に到着。京急蒲田から東急に向けて歩いているだけで汗が湧き出てきたところで、東京に戻ってきたことを実感した。
感想
ぱぱっと済ませようと思っていたのに、今回も一万字コースになってしまった...。スカイメイトとノープラン旅行は相性抜群なので、また思い立ったときにやりたいです。