AtCoder 入赤 (2023/07/02)

ARC 163 で赤になりました。

 

 

感想

率直に嬉しいです。5 月くらいまでは赤になれるとは思っていなかったので、しばらく実感がなかったのですが、最近銅冠も達成してようやく実感が湧いてきたので、現状分析も兼ねて記事を書くことにしました。

精進についての考え

基本的にこれまで、自分に足りない力を補うためには何をすればいいかを考え、目的に則した精進方法をやってみるという方法で一貫してやってきました。例えば、構築を鍛えたいと思ったら yukicoder の構築問題や過去のコンテストで苦戦した構築問題に取り組んでみたり、早解き力を上げたいと思ったら codeforces のバチャをやるといった具合です。そのため、コンテスト本番参加についてはあまり重視していないです。

具体的な精進方法

星は個人的な橙から赤になる上でのおすすめ度です。

codeforces div.1 バチャ ★★★★☆

黄色時代から合わせて codeforces round 200-300 の div.1 を全部やりました。codeforces は全体的に、発想一発というよりは細かいステップがいくつかあるような問題が多いという印象があり、見た目は解けそう(典型っぽそう)なのに意外と大変な部分問題が出てくることが多く、そのあたりで部分問題を頑張って押し通す力がついたかと思います。バチャをやっていくにつれて解ける問題も多くなり、時間内に全完できたことも何回かあったので、成長を感じられたという点でも良かったです。よく誘っては一緒に走ってくれた torisasami くんにはこの場を借りて感謝します。

yukicoder 本番参加 ★★★★☆

毎週金曜日に開催されているコンテストに特に用がなければ参加するようにしています。定期開催・大体日付が変わる前に終わる・日本語ということで、とても参加しやすいコンテストです。writer も毎週様々で、ABC-like なコンテストから adhoc 要素の多い高難易度のコンテストまで幅広く練習ができます。そろそろ自分も作問しなければという思いもあります。

JOI 難易度 10 埋め ★★★★☆

今年の 3 月に JOI 春合宿オープンコンテストに参加し、JOI が面白いなと感じたことをきっかけに始めた精進です。難易度を色々見た結果、難易度 9 は割と簡単に解けて難易度 11 はだいぶ難しいという印象だったので難易度 10 に取り組むことにしたのですが、ギリギリ自力で解けるみたいな問題が多かったのでかなりいい練習になりました。特に、もともと得意ではなかったグラフやデータ構造についての知識や汎用性の高いテクニックを増やすことができたと思います。また、いい実装練習にもなり、ARC や 5h などで実装重めの問題があってもそれほど苦ではなくなりました。難易度 11 を埋めてる人はすごいなと思います。

Library Checker 埋め ★★★☆☆

ライブラリを作ったり盆栽したりするのが好きなので、楽しく取り組めました。現在 113 問を AC していて、ランキングでは 13 位なようです。競プロではアルゴリズムを勉強して実装したけど verify できないというのはよくあるシチュエーションだと思うので、それを verify できる環境があるというのはありがたい限りです。この Library Checker 埋めでは、特に数え上げ分野を埋めることで畳み込みの立式の仕方や FPS の使い方についての理解が深まり、ABC や ARC でもかなり効果が出ていると思います。今後はまだあまり手を付けられていないグラフ分野についても勉強したいです。

ABC 埋め ★★★☆☆

8 問体制になって以降の ABC については現在全問 AC しています。Ex 問題については自力ではどうにも手が付けられない問題も多くあるので、わからなかったら解説をじっくり読みながらという感じでやっています。Nyaan さんなど ABC の解説は非常に充実しているので、行間を埋めながら読んでいくだけでもかなり勉強になります。8 問 ABC の本番参加時の全完率は 1/3 程度なので、これからは 4,5 割全完できるように知識レベルを上げていきたいです。

ARC - E・F upsolve ★★☆☆☆

ARC の 800 点以上は考察・実装の両面で難易度が高く、D まで 1 時間以内で解いた上で筋の良い考察をできないと厳しいという印象です。ただ、じっくり考えれば自力で解けるということも多く、F 問題は数学っぽい問題も多いので楽しく upsolve できています。赤になる上では 700 点以下の安定感を出す方が重要だと思っているので優先度はそれほど高くないですが、今後は高難易度へのアプローチ力強化という面で積極的にやっていきたいです。

なぜ赤になれたのか

わかりません。ぼちぼちやり続けてきた精進の成果、ただ単に自分にとって解きやすい問題が Rated コンテストに集中したなど色々あると思います。ただし、最近確実に上がっていると実感している能力があり、それは筋の悪い解法に進んでいるときに立ち戻って考え直す力です。以前と比べて方針の良し悪しを判断する精度・速度が上がったのが最近の調子につながっているのではないかと思います。

現状の得意・不得意分野について

コンテストのパフォーマンスの分散はかなり小さい方だと思っているので得意・不得意はそんなにないつもりではいますが、列挙するとこんな感じです。

  • 得意:bit operation 系の問題、dp、中難易度の早解き
  • 不得意:データ構造、グラフ、実装(タイピング)、高難易度へのアプローチ

勝手にライバル視しているプレイヤー

橙時代から特に意識していたプレイヤーについて、失礼ながら勝手に書かせていただきます。ちょうど 1 年前くらいはこの 3 人と自分を含めた 4 人でレート 2600-2700 くらいでかなり競っていたので、誰が最初に赤になるのか(あるいは誰もなれないのか)みたいなことを想像していたりしました。現状でも実力はかなり拮抗していると思うので、より上の舞台でまた戦えたら嬉しいなと思っています。

torisasami くん

ICPC DELIAIR のチームメイト。教養学部時代のクラスメイトで競プロのことを色々教えてもらい、今でもバチャを一緒に走ったり、コンテストの後の感想戦を二人でしたりととてもお世話になっています。自分が黄色になってからはかなりいい勝負をしていて、常に負けたくないプレイヤーの一人であり、一方で torisasami くんが活躍していると嬉しいという面もあります。

chinerist さん

ICPC The Raspberry Candies 所属。2022年の前半に急速に力をつけてきてあっという間に抜かされてしまったという印象があります。ARC での 3200 perf 率が非常に高く、高難易度へのアプローチ力を見習いたいです。作問も面白い問題が多く、AGC の writer をするなどとてもすごくて尊敬しています。

Kite_kuma くん

ICPC SPJ 所属。将棋が強いことで高校時代から名前を知っていました。競プロ始めたときから伸びが著しく、一学年下ながら自分よりも常に先を行っているという印象があります。AtCoder で 2774 まで行ったときは素直に赤になってほしいと応援していました。最近は調子を落とし気味かもしれないですが、実力はそんなもんじゃないと思うのでまた頑張ってほしいです。

その他近況報告

ICPC

今年度の ICPC は国内予選 5 位でアジア横浜大会へ参加できることが決まっています。最近はチームの各人の実力向上に加えて適切な役割分担をできるようになったため、Universal Cup や multiuni などの 5h コンテストでも良い成績を出せるようになってきています。横浜大会では昨年より上を目指せると思うのですが、US 配列キーボードについてはかなり懸念しています。

学業・研究など

卒論は結構いい感じの結果を出せて今年の 5 月に学会発表もしました。学会では他大学の研究者の方に結構褒めていただいたりして嬉しかったです。一方で研究室が変わって大学院での研究は行き詰まり気味なのでもっと頑張らないとなあと思っています。

インターン・就活

6-7 月に 1 社のインターンに参加し、8 月末からもう 1 社、10 月からもう 1 社で合計 3 社のインターンに参加する予定です。AtCoder jobs を使ったり使わなかったりで業務内容も様々な予定です。既に参加したインターンでは、CS 系の知識がなさすぎてすみません...という気持ちになったので、最近は視野を広げて色々取り組むようにしています。就活で受けるところについてはそろそろちゃんと考えます。

脱純粋培養に向けて

最近は tabr くんに色々教えてもらって SQL コンテストや HTML・javascript (react)、ネットワークの勉強などに着手しています(大変感謝しております)。あとは UNIX コマンドを日常的に使うように意識したりしています。赤になって精神的に余裕が出てきた面もあるので、今後はできることを少しずつ増やしていきたいです。

将棋

やってないです。藤井七冠が八冠になるのを指をくわえて見ています。AtCoder でいうとレート 2500(?) くらいのところで引退してしまったのですが、今は競プロの精進方法の知見があるので昔とは違ったやり方で取り組めるかなという感じはあります。ただソフト研究みたいなのはあまり乗り気ではないです。

まとめ

今後は競プロ以外も頑張ります。