SCIS 2024 (2024/01/23-26)

2024 年 1 月 23 日(火)から 26 日(金)にかけて、長崎県長崎市の出島メッセ長崎にて開催された SCIS 2024(暗号と情報セキュリティシンポジウム)に参加したので、その記録を書こうと思います。

SCIS とは

SCIS は電子情報通信学会主催の国内会議で、Symposium on Cryptography and Information Security の略称です。暗号系の学会としては国内最大規模で、4 日間に渡って同時に 6,7 個のブースで平行して発表が行われます。発表形式はスライドをプロジェクターに投影する方式で、1 件あたり発表 15 分・質疑応答 5 分の合計 20 分となっています。内容としては耐量子計算機暗号を始めする暗号理論から現実世界のセキュリティ実装まで、多岐に及んでいます。

参加経緯

今回は、発表ではなく昨年に同学会主催の研究会で発表した論文(卒論での研究)の表彰式出席という名目で参加しました。11 月頃に急にメールが来て SCIS で表彰式を行うと言われてびっくりしましたが、当然学会への参加も必要でその他の旅費などもかかってしまうため、現地に行くのは無理かなと思っていました。ダメ元で元指導教員に聞いてみたところ、すんなり行っていいと言われて拍子抜けしました。昨年も研究室に同様の状況の人がいて、その人は表彰式に出た後日帰りで即帰らなければいけなかったようなのですが、なぜか私は全日参加を許されました。

大会前日まで

当初は前泊する気満々で 22 日から 26 日まで行く予定で考えていて、最初にホテルを予約しました。恐らく同学会に参加する人が多い影響でホテルはこの時点で既に安いところは埋まっていて、結局 4 泊以上の割引がついているホテルを予約しました。4 泊の朝食ありで合計約 32,000 円です。年末頃に先生から連絡が来て、23 日の朝に移動しろと言われました。本当はサンライズやら長距離フェリーやら使いたい経路はいくつもあったのですが、面倒かける訳にもいかないので素直に従うことにしました。結局ホテルは 3 泊で取り直しとなり、どこも日 1 万円程度はかかりそうだったので大浴場のあるドーミーインに切り替えました。飛行機はできるだけ安くしろと繰り返し言われたので片道 1 万円足らずで行ける LCC を予約しましたが、後出しで ANAJAL にしろと言われ、血の気が引きました。キャンセル出来なかったので結局取り直す必要はありませんでしたが、それなら最初から JALANA を使えば良かったなという感はあります。そんなこんなで準備は済んだので一安心していましたが、新年早々羽田で JAL の事故があって不安を煽られました。もちろんこれは杞憂だったのですが。

参加記

大会 0 日目 (1/22 月)

前日は奇しくも暗号系の授業の期末試験があった。試験に出ていたら前日入りは難しかったので、結果当日入りで良かったという面もある。授業には初回以降一切出ておらず、前週に少し勉強したものの単位が来れば上々という感じだった。そうは言ってもこれを取れれば大学院の卒業単位が足りるのでなんとか取っておきたいところ。

試験では定義わかってればやるだけみたいな枠がほとんどなく、3 つある大問のうち 1 つは題意すらわからないという惨状だったが、なんとかわかりそうな大問に全振りしたら一応全問解け、単位は来そうという感触はあった。試験が終わった後は企業との面談があったため即帰宅。面談はなぜか過去一盛り上がり、就活系の面接・面談の中では一番楽しかった。

用が済んだ頃にはすっかり暗くなっていたので荷造りを始める。LCC の手荷物重量制限 7 kg を越えてしまうと追加で 4 千円も取られるので、重量検査にはかなりナーバスになっていた。実際 4 日間の着替えと鞄の重量だけで 6 kg を超過し、PC の持参は泣く泣く断念。翌朝は早いので 22 時頃に就寝した。

大会 1 日目 (1/23 火)

成田 9 時発の飛行機に間に合わせるため、余裕を持って 5 時に起床。駅で電車を待っている間、生活習慣が崩壊している tabr 氏から昨日のテストが 36 点だったと言われ、自分も確認してみると、まさかの 61 点(単位確定演出)。高々半分の問題にしか手を付けていなかったがが、完答した大問にボーナスが入っていた。そうこうしている間に電車は都営地下鉄三田駅に到着し、ここからは直接成田空港を目指す。列車は京成成田スカイアクセス線直通の浅草線アクセス特急成田空港行。興味深いことに、この列車は京急線羽田空港第 1 ・第 2 ターミナル駅始発で、羽田空港と成田空港をダイレクトに結んでいる。朝 6 時でも空席はなかった。途中辛うじて着席はできたもののその後も混雑は増していき、千葉県に入った辺りで満員電車の様相を呈した。このまま全員成田空港へ向かうのかと思ってた矢先に過半数千葉ニュータウン駅で降車していったのには驚いた。

7 時半頃に空港第 2 ビル駅に到着し、ここからは LCC の発着する第 3 ターミナルへと向かう。第 3 ターミナルと駅のある第 2 ターミナルは少々離れていて、バスまたは徒歩で移動する必要がある。案内に従うままに外に出ると陸上のトラックのようなレーンがあり、これに沿って歩いて行くと第 3 ターミナルに辿り着ける。このトラックは利用客を滞らせることなく無意識に誘導する意味があるらしい。

成田空港第 2 ターミナル外。右の方に第 3 ターミナルへ続くトラックがある。

第 3 ターミナルまでは 10 分強で、それほど遠さは感じなかった。ターミナルに着くと、念のため持参していた服をもう一枚重ね着し、スマホとモバイルバッテリーを上着のポケットにしまった。チェックインはオンラインで済ませておいたため、すぐに保安検査場に向かうことができた。特に面倒なものは持ってきてなかったため保安検査もすぐに通ったが、問題ないのであれば髭剃りを持ってくれば良かった。保安検査場から搭乗口までも歩いて 10 分くらいの距離があった。搭乗口付近で手荷物の重量検査があり、内心ドキドキしていたが、蓋を開けてみれば 5.8 kg とそこそこ余裕があり胸をなで下ろした。時刻は既に 8 時 20 分を回っており、早めに来て正解だった。

8 時 45 分頃に搭乗が開始する。搭乗するのは Jetstar GK641 便長崎空港行。9 時ちょうど発 11 時 25 分着で、料金は全て合わせて 9,560 円。全日空日本航空と比べて安っぽい感じが悪くない。予約時点ではガラガラだったが、いざ乗ってみると機内は満席。座席間隔は狭く少し窮屈な感じもあったが、フライト時間も短いので大した問題ではない。滑走が始まるまではやや時間があったが、定刻通りに成田空港を出発。冴えない天気だったが、空の上では平等に晴天を享受できる。朝早かったためできれば機内で少し寝たかったが、地上を見て特徴的な地形から現在地を推定するのが面白くてほとんど眠れなかった。中でも富士山や木曽三川、琵琶湖、淡路島などははっきりと視界に捉えることができ、流石の存在感であった。2 時間というのはあっという間で、長崎空港上空に到達して着陸の準備が始まった。長崎空港大村湾の人工島の上に存在し、かなり海に近い位置で低空飛行を続けていたのでスリリングな面もあったが、定刻通りに無事到着した。

空港のある大村市長崎市は離れており、基本的にバスで移動する必要がある。時間があれば新大村駅から新幹線で行きたかったが、表彰式に遅れたら元も子もないので最速で長崎へ行くリムジンバスを選択。県内は大粒の雪が降っており、直前まで空の上で温泉気分になっていた身としては耐え難い寒さだった。バスは高速道路を経由して 45 分程走行し、12 時半頃に長崎駅前に到着。長崎駅周辺は新幹線開業に伴い大規模に再開発されており、市街の歴史ある街並みとはアンバランスな印象を受けた。

新幹線開業に伴い変貌を遂げた長崎駅

学会自体は 13 時から始まるため、まずは出島メッセ長崎へと向かった。会場は長崎駅の真横で非常にアクセスが良い。受付では本人確認はされず名前を言うだけで名札がもらえ、皮肉にもセキュリティがガバガバなのが面白かった。朝からほぼ何も食べておらず飢えており、市街へ繰り出す余力もなかったので駅ビルのラーメン屋で食事を済ませた。会場に戻ると既に招待講演が始まっていたが、実はその間に賞状の受け取り方を調べるなどしていた。

表彰式は 14 時に始まった。登壇者は会場前方へ集まるように言われ一応前の方に行ったが、当然知らない人ばかりなので結局中途半端な位置に留まってしまった。コメントを求められたら何て言おうかなと考えたりもしたが、実際はただ賞状を受け取るだけの簡単な仕事であった。

表彰式が終わると先生に会った。登壇しているときに目の前で撮影されていたようだったが、壇上からは全然気が付かなかった。セッションには一応全日行く予定だったが、先生に「この後はゆっくりしていってください」と言われたのですっかりその気になってしまった。その後は元研究室の人々と合流したが、M2 の先輩方を含め皆さんに認知してもらえているようで安心した(ぼっち回避)。

一段落すると荷物を置きにホテルにチェックインしに行った。今回のホテルは天然温泉鶴巻の湯ドーミーイン PREMIUM 長崎駅前の素泊まりプラン。建物は新築で、洗面所やトイレが広かったのが良かった。

ホテルの部屋(4 日間の家)

旅行に行くと初日が大事という感はあったので、ホテルで荷物を整理してから早速市街へ繰り出していった。雪は一粒一粒が大きく、発泡スチロールが降り注いでいるかのような感覚を味わった。歩いているといいことがありがちな海沿いを進み、最初は長崎港へと行く。港では軍艦島クルーズが運営されていたが、悪天候で海が荒れているため残念ながら 25 日まで 3 日間運休が決まっているようだった。海沿いを離れてからはオランダ坂や新地中華街の方を一通り歩き、路面電車に乗って長崎駅に戻る。途中で八百屋があり、店頭で大きいみかんが 4 個 100 円で売られていたので衝動買いした。

17 時からのセッションでは研究室の先後輩の発表があったのでそちらを聞きに行き、終了後は飲み会に行く流れになった。元々行こうとしていた店は相次いで満席で、結局私が泊まるホテルのすぐ横の居酒屋へ行くことになったが、外は雪が降りやまず非常に寒かったのでこれはありがたい。店では、他の研究室の先生の奇行で盛り上がった。特に、隣の研究室の先生が試験後に zoom で名前を隠しもせず公開採点を始めたというのには幻滅した。他では、国際会議が日本開催だと残念 → 直近の IMO が日本開催でそれと状況が似てそう、という流れで数オリ系の話の流れになった。先輩方が良問と評する今年の JMO 予選の幾何問題を聞いてそれを考えていたりしたが、紙がない状態では解けない。他の人たちは set with friends というゲームをやっていたりしていた。このゲームは、場にある 12 枚の図形が描かれたカードの中から、形、色、枠線の色の 3 要素が 3 つ全て一緒であるまたは 3 つ全て異なる 3 枚のカードを選ぶというもので、難しそうだ。時間はあっという間に過ぎて閉店の 22 時を迎えた。外で会計を待っている間も雪は降り注いでおり、酔いと寒さでおかしくなりそうだった。

ホテルに直行すると、酔いを醒ますまで先程の幾何問題を考えたが、図を描いてみるとあっさり相似が見えて解くことができた。ドーミーイン名物ともいえる夜鳴きそばがあったことを思い出し、食堂へ向かう。あっさりめの醤油ラーメンでいい感じに酔いが醒めてきたところで最上階の大浴場へ行った。ホテルの客室の風呂はユニットバスであることがほとんどで、湧かすのも面倒であるため、大浴場でしっかりと温まれるのは非常に良い。風呂から戻ってみかんを食べたりした後、24 時頃に就寝。本当に長い 1 日だった。

大会 2 日目 (1/24 水)

朝はゆっくりと寝て 9 時半頃に起床。本当はもっと寝たかったが、10 時まで営業している大浴場に間に合わせるためここで起きた。朝食はみかん 1 個で済ませた。風呂から戻ってきた後もなかなか動く気にはならず、11 時半頃に食事に行くために漸く部屋を出る。食事は前日の散策で見つけた海沿いの海鮮市場へ行った。他学科出身の研究室同期(所属していた時期は被っていない)2 人を誘ったら一緒に来てくれたが、1 人とはそれまで一切関わりがなかったのに仲良くしてもらえたのは嬉しかった。

海鮮市場 長崎港 出島ワーフ店にて食事

食後は少し散策し、例によって中華街の方面へ来た。雪はまだ降り続いており、この時が一番強かった。適当に歩いていると、カステラの文明堂に遭遇する。「カステラ一番、電話は二番、三時のおやつは文明堂」の CM が有名らしいが、私は全然認知していなかった。しかし同期がその CM をずっと歌っているので、すっかり脳にこびりついてしまった。土産は最後に買う予定だったが、せっかくなのでここで少々カステラを買うことにした。普通のカステラといちごカステラの 6 切れ詰め合わせで 820 円。1 切れ 120 円だったので、バラで買ったときと比べて高くなっていたが、これは包装代なのだろうかという疑問を持った。それにしては包装も普通の紙袋という感じであったが。

写真にも映るくらい大粒の雪が降り注ぐ新地中華街

カステラを一旦ホテルに置きに行った後、この日初めて会場へ向かった。しかし、聞こうと思っていたセッションはほぼ満席で気軽に入れそうな余地がなかったため、次のセッションが始まるまで駅ビルのカフェで待つことにした。ここでは、研究室の教授が担当している暗号の授業のレポート問題の 1 問を解いた。内容は、奇素数 p について、乗法群 (\mathbb{Z}/p^e\mathbb{Z})^\times巡回群であることを示せというものである。証明自体は初等的な議論で回るが、事実としてはなかなか興味深い。

15 時頃になり、次のセッションも近かったので再び会場へ戻った。このときには雪は降りやんでおり、晴れ間も垣間見えた。セッション開始には数分間に合わず結局立って見ることになった。このセッションでは研究室の先輩の発表があったが、その発表では行列の 01 情報から得られる二部グラフを利用しており、非常に興味深かった。他にも格子の SVP を用いた素因数分解法などの発表があり、全体的に自分の関心と合致しているセッションだった。

セッション自体は 17 時過ぎに終了。19 時頃から始まる懇親会まで時間があったので、研究室の数人と一緒に駅ビルのゲーセンに行った。一緒に行った 1 人は音ゲーをかなりやっている一方で、私は全然わからないのでプレイしている様子を見ながら研究の話など雑談をしていた。maimai や太鼓の達人をやっていたが、後者のコーナーには小学校入ってないくらいの子供がいて、しかもしっかりと叩けていたのでそれに目を奪われた。ギャラリーもできていて面白かった。色々な意味で将来が楽しみである。

夜になったら懇親会が始まった。参加費は 7 千円と少し高かったが、ビュッフェ付きである。珍しいものとしては鯨のベーコンがあったが、地域によっては学校給食に出てきたりするほど鯨は日常的に食べられているらしい。懇親会では指導教員以外の研究室の先生方と挨拶をしたが、認知してもらえていたのは安心した。その他にも他大学の学生と話をする機会があった。bayashiko さんら早稲田の競技プログラマーが多数所属する研究室の M1 の方もいらっしゃって世界の狭さを感じた。会場では長崎くんち伝統芸能である龍踊りの披露が始まる。龍と書いて「じゃ」と読む。昔は蛇の字があてがわれていたが、途中で変わったそうだ。辰年ということで龍を模しているのかと思ったが、そういうことではないらしい。

懇親会食事(抜粋)。茶碗蒸しが美味しかった

21 時頃に懇親会が終了した後は真っ直ぐホテルに戻った。ホテルではテレビをつけながらレポート問題の続きに取り掛かり、今度は Coppersmith 法の元論文を読んだ。無目的でテレビをつけるのは旅行のときに特有なので、非日常感があって良い。ニュースでは大寒波の様子が報道されていた。滋賀県長浜市では 50 cm 超の積雪だったようだ。その後もバラエティ系の番組を見たり、日課の夜鳴きそばと風呂をこなしたりして、2 時頃に就寝。

大会 3 日目 (1/25 木)

例によって 9 時半に起床し、大浴場へ直行。湯上がり処にヤクルトがあったので、それを部屋に持ち帰って飲んだ。この日も昼までダラダラした後食事へ向かう。食事は駅前のトルコライスの店ニッキーアースティン。トルコライスはトルコ発祥なのかと思っていたが、その由来は諸説あって釈然としないようだ。メニューはライスの種類が 5 つ以上、肉料理の種類が 20 個程度あって、組み合わせとしては 100 通りを優に超えていたように思う。メニューはライスの種類が 100 の位、肉の種類が下 2 桁に対応した 3 桁(中には 4 桁も) の番号で呼ばれており、混沌を極めていた。今回注文したのは 307 番。300 番台は「白いご飯にカレー、ドライカレースパゲティにデミソース」に対応し、下 2 桁の 07 は「チキンカツと煮込みハンバーグ」を意味する。とりあえず全てを盛り込んだというような見た目だったが、味は良かった。

トルコライス 307 番

食後は会場へ向かい、連日食事に行った同期の発表を見た。私は研究テーマの決定すらままならない現状なので、この時点で学会発表できているのはすごい。発表を色々見ての感想だが、研究室の人たちはしっかり指導されているだけあって流れの掴みやすい発表がなされていると感じた。

セッションが終わった後は同期 2 人が一緒に泊まっているホテルの部屋へお邪魔した。最上階で、広く眺めの良い部屋だったが、直前にキャンセルが出たおかげで部屋が格上げされたとのことだった。ホテルのテレビは YouTube が見れたので、朝日杯の▲近藤誠也△西田拓也戦の中継を視聴。先手の近藤七段がミレニアムに堅く囲って優位に進めていたが、終盤西田五段の 75 歩を打ってから 57 馬と引く手順が巧妙で将棋は激戦に。最後まで見たかったが、千日手模様になったので切り上げて皆で散歩に行くことにした。

天気も良かったので、2 人の要望もあってグラバー園へ赴いた。私は 6 年程前に一回行ったことがあるが、その時は夜だったのでまた別の空気を味わえるかという期待を抱いた。この庭園は、歴史ある建造物なのにエスカレーターや動く歩道があるのが面白い。一通り園内を巡ったが、やはりドッグハウスから眺望できる街並みはとても良かった。コーヒーだけで千円するという噂の自由亭喫茶室にも行ってみたかったが、あいにく営業時間外になっていた。最後に土産処があったので、ここではカステラプリンを購入した。

グラバー園から望む長崎湾

夜はグラバー園からも程近い新地中華街で食事をした。中華街は意外と人通りが少なく閑散としていた。食事は長崎ちゃんぽんの店で皿うどんと餃子を食べた。味は良かったが、若干甘さが強かった印象を受けた。

皿うどん

同行していた 1 人は明日の発表のスライド作りのためホテルに戻ってしまったので、もう 1 人と一緒に稲佐山山頂へ行くことにした。研究室の Slack でも誘いをかけたが、全く反応がなく悲しかった。稲佐山長崎駅の西側にある山で、長崎駅から 15 分程歩いた場所にある淵神社から出るロープウェイによって登頂できる。山頂は凍てつくような寒さで、写真を撮るだけで手が痛くなってしまう程だった。しかしながら世界三大夜景にも登録されている長崎の夜景は格別で、坂の多い市街の織りなす立体的な景色にしばし見惚れた。15 分ごとにハートマークや龍を象った電装が点灯するという演出もあった。もう少し山頂を散策したいという思いはあったが、寒さに耐えきれず 30 分程で引き返す。帰りはロープウェイ乗り場近くからバスに乗って駅まで戻った。

長崎の夜景

21 時頃にホテルに戻った後は、すぐ入浴をした。冷えた後の風呂は心地が良い。数十分かけて上がった後は、湯上がり処のアイスと部屋備え付けのプリンを嗜みながら荷物の整理をした。4 日というのは長いようで短く、短いようで長い。市街を観光するには過不足ない日数だったと思う。土産が増えることを鑑み、重量制限を気にしたくなかったので帰りはホテルから宅急便で荷物を送ってもらうことにした。テレビを見たり仕事をしたりしつつ、2 時頃に就寝。

大会 4 日目 (1/26 金)

4 日間の学会もついに最終日。この日は自分の卒論を引き継いで研究をしている同期の発表があり、それは絶対に見ておきたかったので 8 時に起床。最後の風呂に入り、最後のみかんを食べてホテルを後にする。部屋がエレベーターホールから一番離れた所だったという点以外は満足の高いホテルだった。チェックアウトした後急いで会場へ向かったが、セッション開始には 3 分程遅れてしまった。風呂にゆっくり浸かりすぎたのが敗因だ。同期の発表に対してどういう質問コメントが飛んでくるのか注視していたが、仮定に対する技術的なアドバイスがされていてこちらとしても勉強になった。論文を引用している先生からこうして直接コメントを頂けるというのは大変ありがたい。

全てのセッションが終わった後、研究室のメンバーで集まった。他の人たちは前日レンタカーで佐世保まで行っていて、帰りに稲佐山にも寄っていたようだった。それならそうと教えて欲しかった感はある。終了後は物産館や駅ビルでカステラなどを買い足しし、帰りの空港の福岡まで行く必要があったのでここで別れた。

博多駅までは西九州新幹線で向かった。これに乗るために帰りの空港を福岡空港にしたと言っても過言ではない。13 時 45 分発の西九州新幹線かもめ 32 号武雄温泉行に乗車。車両は 6 両編成の N700S 系で、トイレのタイル見たいな床が特徴的だった。武雄温泉駅佐世保線長崎本線の特急リレーかもめ号に接続し、博多駅までを結ぶ。所要時間は新幹線が約 30 分、リレーかもめ号が約 1 時間の合計約 1 時間半で、料金は乗車券 2,860 円、特急券が通しで 2,660 円の合計 5,520 円だった。新幹線内はあっという間だったので新鳥栖まで全線開業すればかなり早く着けそうに思ったが、佐賀県の反対で着工できていないというのが現状である。なお、当の佐賀県知事の息子が高校同期という話もある。

西九州新幹線 N700S 系車内。トイレよりもトイレっぽい床。

博多駅に着いたのは 15 時過ぎで、飛行機の搭乗までは時間があったのでまずは食事を求めに中洲へ繰り出して行った。福岡はほとんど来たことがないので土地勘はなく、とりあえず中洲川端駅まで歩いてきたものの辺りにはチェーン店しかある気配がない。程なくして店は中州の博多駅方面の側にあることに気づき、そちらへ向かった。この辺を歩いてみると実際に「中州」になっていることを実感できる。時刻は 16 時台で、昼の営業は終了し夜の営業はまだ始まっていないという所が多く、営業中の店が少なかったためとりあえず開いている店に飛び込んだ。鶏皮餃子というメニューが目を引いたので注文したが、パリッとした皮の中に餃子のタネが詰め込まれており非常に美味しかった。せっかく福岡に来たので、ちゃんと食事ができてよかった。

豚骨ラーメンと鶏皮餃子(初見)

飛行機まではまだ時間があったので福岡タワー北側の百道浜へ行った。こちらは以前福岡タワーに登った際に見えて、一度行ってみたいと思っていたのでちょうど良かった。福岡タワー周辺はアクセスが優れず、地下鉄空港線唐人町駅から PayPay ドームを経由して 20 分程歩いてももち海浜公園に到達した。海に突出している建物マリゾンは謎が多い。

海浜公園。奥には漢委奴国王の金印で有名な志賀島も見える

浜辺を後にすると、今度こそ福岡空港へ向かった。博多駅から福岡空港駅までは空港線で 2 駅と非常に近かったが、博多駅までは意外と時間を要した。事前チェックインを済ませておいたので、空港では淀みなく保安検査に行く。保安検査では土産の袋を勝手に倒されてビリビリに破かれたので少し気分を害した。福岡空港では一切重量計測はされず、搭乗口までも近かったため暇を持て余してしまった。時刻は 18 時半頃で、搭乗の 19 時 35 分まで一時間以上ある。しかも他の東京方面行の便は遅延が出ていたので、私が乗る便も遅延したら嫌だなという気持ちになった。保安検査をくぐってしまうともう店もあまりなく、本当にやることがなかったので将棋をやったり競プロの問題を考えたりしていたが、それなら博多南駅など行きたいところに行けば良かった。

飛行機自体は定刻通り 19 時 35 分に出発した。Jetstar GK516 便の成田空港行。到着予定時刻は 21 時 20 分 で、所要時間は往路と比べて大分短いが、これは偏西風の影響である。料金は 8,560 円で、長崎からの移動込みでも安い。今回は使わなかったが、私用であれば JALスカイメイトも使っていきたいと思った。今回の座席の目の前には非常口があった関係で前の座席は抜け番となっており開放感があったが、荷物は全て上の棚に上げなければならず、脱いでいた上着を没収された。LCC だからなのかはわからないが、全体的に荷物の扱いが雑な印象を受けた。フライトはつつがなく、予定よりも早く成田空港に到着。その後も実は色々話があったが、今回はここまでとさせていただきたい。

感想

遠出しての学会は初めての経験でしたが、気になる発表を見つつ観光もするという両立をいいバランスでできたので、非常に充実した 4 日間になりました。