大菩薩嶺に登るために甲斐大和駅からバスで登山口まで行こうとしたところ、バスが全日運休の日だったという話です。
大菩薩嶺とは?
山梨県甲州市と丹波山村にある標高 2057 m の山です。登山口が標高 1600 m の位置にあり、約 4 時間で山頂まで往復できる初心者向けの登山コースがあります。昨年の 8 月に碓氷峠を越えたのを大学の同期に知られてしまい、今回は登山に誘われました。
登山口までのアクセス
甲州市は大月市と甲府市の間に位置しています。JR 中央本線の駅で言うと、甲斐大和 (地図中 B)、勝沼ぶどう郷、塩山 (地図中 A) の 3 つがあります。登山口のある上日川峠には、甲斐大和駅から栄和交通のバスが出ています。
都内から電車で行くと、新宿から高尾まで約 40 分、高尾から甲斐大和まで約 1 時間、甲斐大和から上日川峠まで約 40 分で、乗り継ぎが良ければ 2 時間半くらいで着けます。ただし、朝のバスは平日で 8:10, 9:50 の 2 本、休日でも 8:10, 9:20, 9:50 の 3 本しかないので、日帰りで行く場合は朝早く出発する必要があります。土休日は毎日運行していますが、平日は運行日が決まっていることにも注意が必要です。
当日の予定
朝 8 時前に高尾駅で集合して、高尾 8:01 発の中央線甲府行に乗って 9:04 に甲斐大和駅に着き、9:20 発のバスに乗る予定でした。実際は、京王線の遅延の影響で同行者の高尾到着が遅れたため、40 分後の甲府行に乗ることになります。この時に漸くバスのダイヤが平日と土休日で違うことに気づきましたが、どのみち乗ることになるであろう 9:50 分発のバスは平日も運行しているので、特に問題ないだろうと思っていました。
列車は 3 分遅れで 9:44 に甲斐大和駅に到着します。駅前の広場にあるバス停でバスを待っていたところ、同じく登山客であろうおばさんから「今日はバスは運行していない」と言われ、そこで初めて平日は毎日運行してるわけではないことに気づきます。
代替案として、塩山駅からも登山口に向かうバスが出ていることを教えてもらいましたが、その行先は上日川峠とは別の登山口で、より山頂から離れているため、登山を断念して甲斐大和駅周辺でハイキングをすることになりました。
ハイキングコース
以下の地図の経路が実際歩いた経路になります。
A は甲斐大和駅、B は景徳院、C は竜門峡入口、D はやまと天目山温泉です。
甲斐大和駅から景徳院
甲州市の中心駅は塩山駅で、駅前は閑散としています。駅前では、広場にある武田勝頼公の銅像が一際目を引きました。武田勝頼が自害し、事実上武田家が終焉した地がこの近辺の田野という地区であり、それを語り継ぐために銅像が作られたようです。広場の前の坂を上るとすぐそこに甲州市立大和中学校がありましたが、人がいる気配はありません。どうやら、数年前に統廃合によって廃校となったようです。
景徳院・竜門峡方面へ続く道は、県道と林道の 2 つがあります。そこで、行きは林道、帰りは県道で行こうと考えていましたが、林道が工事により通行止めになっていたため、やむなく県道を往くこととなりました。景徳院までは 2-3 km の緩やかな坂道となっています。
景徳院から竜門峡入口
景徳院は、田野で自害した武田勝頼やその親族を弔うために、徳川家康の命で建立されたもので、墓や自害の際に座ったとされる生害石があります。その他にも、この周辺は大きい墓地が複数ありました。
景徳院を後にすると、登山用に買ったおにぎりを食べてから竜門峡へと向かいます。道中には、「蕎麦切り発祥の地 甲州市」を謳う蕎麦屋があったのが印象強いです。蕎麦切りというのは現在でいうところの通常の蕎麦で、昔は蕎麦がきや蕎麦餅として食べられていたところ、麵にして食べるというのは画期的だったようです。
竜門峡入口までは日川の横を約 1 km の道のりです。
竜門峡入口からやまと天目山温泉
竜門峡に入って、ここから先はいよいよハイキングらしいコースとなります。遊歩道の入口には熊注意の看板がありましたが、やはり山となると熊は避けては通れません。
遊歩道では、最初は日川の上を歩きます。川が近くを流れていると、せせらぎも相まってとても涼しく感じられるものです。しばらく進むと下り道になり、川まで降りることができます。
川の流れは急で、渡るのにも一苦労しましたが、その分川の真ん中に立ったときは迫力を感じられました。こうして川に触れていると、子供の頃に地元の川に入って遊んでいたことが思い出されます。
その後も渡るのが不安になるような橋や坂を上りながら川沿いを進み、最後に斜面を登ると再び県道に出ます。ハイキングでちょうどよく汗を流したところに温泉があったので、迷わず入ります。
やまと天目山温泉
温泉は料金 520 円で露天風呂もついていて、非常に満足のいくものでした。pH 10.3 の高アルカリ性で肌がぬるぬるする泉質と 35 度程度の適度なぬるさが相まって、彼此 1 時間近く入っていたと思います。
風呂を上がった後は、友人が持参していた非常食用のドライカレー (大学で余った分を配ってるやつ) を、魔法瓶で運んでもらったお湯を使って作りました。しっかりとカレーの風味があって思っていたより美味しかったですが、味は単調でボリュームがあるため最後の方はやや食傷気味になりました。
食後は眠気に襲われて小一時間横になった後、17 時頃になって温泉を後にします。温泉にいる間、雨がぱらついていたようでした。
帰り道
帰りは甲斐大和駅まで国道に沿って直線で向かいます。日が暮れてきて少し肌寒いくらいでした。往路は紆余曲折合ってかなり時間がかかりましたが、復路は呆気ないくらいにあっという間でした。
甲斐大和駅のホームに着くと、綺麗な円形の虹がかかっていました。
感想
まさかのバス運休で想定とは全く違うことになりましたが、こういう行き当たりばったりな時こそ旅行は面白いともいえるので、今回は非常に良い経験になったと思います。甲斐大和駅周辺も、歴史と自然が交錯していて楽しめました。